経理の担当者以外も税制の理解が必要
一般的な税制がベースなら、特殊な取引を除いて利益を出す定番の方法があります。
会計処理を適切にして税務調整も万全であれば、大きな損失に繋がることもないでしょう。
取引条件に特殊なものが含まれていても、ビジネスが通常の範疇であれば税務当局が否認することはありません。
つまり、経理を担当する従業員だけが税制について把握しておくだけで十分です。
一方、移転価格税制に関しては、そのようなシンプルな対応だけでは不十分なケースもあります。
なぜなら、移転価格税制は通常では問題視されないビジネスにおいても、価格自体に疑念を持たれるケースが多いからです。
そのため、移転価格税制のもとで利益を上げるには、経理以外の担当者も税制の理解をしっかり行っておく必要があります。
社内で講習会を開くなど、移転価格税制を周知させるための取り組みを早期に実施しましょう。
法人税の税額にも顕著に影響することを忘れてはいけません。
対策として部門間の連携を推進しよう
移転価格税制を重視した対策をするなら、ビジネスの仕組みを深く理解することも必須です。
税務とそれ以外の部門を切り離している限り、個々の負担は大きくなりやすいので注意しましょう。
ビジネス側の部門から経理側に取引に関するデータを集約するなど、情報を一元管理するシステムも早期に構築することが求められます。
ただし、効率が悪くなっては意味がなたいため、専門家も交えて連携を進めていくことがポイントになるのです。
実務における影響を洗い出したうえで、移転価格税制を前提としたプランニングを行いましょう。
たとえば、海外に子会社を持っているなら、取引価格に関して適切なポリシーを設けなければなりません。
移転価格文書を正確に作成することも条件になるので、連携におけるスピードアップは欠かせない要素となってきます。
協力体制を作り上げるために、社内の共通ルールを策定したうえで、マニュアルも用意しておくことが望ましいです。
まとめ
移転価格税制を初めて知ると、通常の税制との違いに戸惑ってしまうでしょう。
しかし、ビジネスで利益を得るには避けられないルートなので、対策についてしっかり検討する必要があります。
中心となる部署を限定することも一つの手ですが、基本的には連携して進めたほうがリスクは小さくて済みます。
まずは上層部で話し合って、法人としてのベクトルを明確にすることから始めてください。
そのうえで従業員にもきちんと学ばせることが欠かせません。